Interview of MIAO(5)

今回は、在日ミャンマー人で日本の通信企業に勤務する大槻美咲さん。クーデター後に仲間とともに立ち上げたクラウドファンディングで多額の寄付金を集めるなど精力的に活動する大槻さんに、来日時のご苦労や母国への思いをお聞きしました。

Vol. 5
在日ミャンマー人、通信企業勤務
大槻 美咲 氏

母国の惨状に無力感を感じたこともあった
今はボランティア団体立ち上げなど精力的に活動

 ミャンマーの高校に通っていた頃に父が福岡市に招待され、帰国後に日本の技術レベルの高さや文化の魅力を得々と話してくれました。これを機に日本への関心が一気に高まり、大学と並行して日本語学校に通い始め、大学の2年次に日本留学を決意しました。

 大学でミャンマー国籍の学生は私一人。想像以上に大変でしたが、ゼミで学んだ「経営戦略と組織論」が面白く、充実した学びの日々を送れました。奨学金を出してくださった京都国際ロータリークラブの方々も優しくサポートしてくれ、思い出一杯の留学生活を送ることができました。

 卒業後は日本に留まり、大手流通企業に入社しました。3年目に「経費削減と仕組化作り」などに取り組み、その後はミャンマーを含む東南アジアにおけるCSRに携わることになりました。学校建設事業や留学生の奨学金事業など、母国と日本の架け橋となる業務に取り組み、人生で最も成長できたと言っていい貴重な日々を送りました。その後、出産を機に退職しましたが、2年後に通信企業で働く機会を得て、現在は主に海外プロジェクトを担当しています。

 2021年のクーデターは、現実を受け止めることが困難でした。ミャンマーが世界から注目されはじめ、若者の夢や希望があふれているこのタイミングで、なぜ母国の未来が奪われなければならなかったのか。今も受け入れられないことばかりです。

 当時は自分だけが平和な日本にいることに申し訳なく思うこともありましたが、「一人でも多くの命を助けたい」と思い、2022年3月に日本人とミャンマー人の仲間とともにクラウドファンディングを立ち上げました。童謡歌手の由紀さおりさんなどのサポートもあり、2ヶ月間で1,500万円の支援金を得られたことに深く感謝しています。今年8月中旬には新たにボランティア団体を発足。今後も人道支援や留学生支援に力を入れていきます。

所沢憲法集会で人道・人権などをテーマにした講演後の募金活動の様子。
大槻さん(写真右)自らロビーに立ち来場者に向けて支援を呼びかけた。

 MIAOの正会員になったのは、クラウドファンディングなど多方面でお世話になっている永杉さんのお声がけや、他の会員からのお誘いがあったからです。信頼できる現地団体と連携した食糧・医療支援や、国民統一政府への支援方針などに共感しています。

 現在、ミャンマーは公的な支援がほとんどなく、近隣国からの協力も乏しいまま避難民が日々増え続けている状況です。MIAOにはまず、彼らへの迅速な支援を行っていただきたい。そして、ミャンマー国民がこの危機を乗り越えるまでその日まで、しっかりと寄り添っていただくことを期待します。

大槻 美咲  [Misaki Ohtsuki]

1982年マンダレー生まれ。2003年に留学のため来日。2007年京都産業大学 経営学部経営学科卒業後、国内流通企業に勤務し海外CSR活動に従事する。現在は通信企業勤務。2021年のクーデター後はクラウドファンディングを実施し食糧支援と医療支援を行うなど精力的に活動する。2022年8月には日緬有志によるボランティア団体を発足させた。